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2014年10月 7日 (火)

182 築年数のこと

建築年代の意味についてもう少し続けよう。
 築30年、というのは、今日から30年前に戻る、と言うことになる。つ
まり、築年数というのは、今日との時間のずれのことで、毎年、1年ずつズ
レは開いてゆく。すなわち、古いか新しいか、ではなく、今日の基準、社会
的通念、常識と、どれだけ違っているか、を示す。ただし、違う、というこ
とは、マイナス、とは限らない。そのことも重要である。
 人の生活というものは、必ずしも時代の変化と同じように変わってゆくわ
けではない。かなり前の車に乗り続けている人だって、決して少数ではない。
奈良斑鳩の法隆寺は千年以上前の建築だが、今日でも、寺院、としての機能
は果たしているはずだ。
 つまり、築年数というものは、古さを示してはいるが、意味は単純ではな
いのだ。
 汚れている、中が汚い、というのは、居住者の生活レベルの問題であり、
マンションの年代とは必ずしも一致しない。居住者のレベルが低くて管理を
手抜きすれば、新築分譲したばかりのタワーでも、一年で、マンション全体
が巨大なタワータイプのゴミ庫となるはずだ。
 巡回点検を始めればすぐ分かることだが、外壁のひび割れ、剥落があろう
と、マンションの構造体には何の影響もない。ひび割れから雨水が入って鉄
筋が腐食し、それによって外壁に爆裂が起きたとしても、それが大梁にまで
達するためには50年くらい時間が必要ではないか。つまり、ひび割れなど
も、要するに手入れ、つまり管理のレベルの問題で、築年数と一致するわけ
ではない。
 古いマンションは汚れがあったり痛みがあって当たり前、と言うのが普通
のイメージだろうが、それは思い込みであって、じつは根拠がない。少し前
に「巡回、の着地点」のところで触れたように、カネの問題に過ぎない。
 すなわち、マンションをきれいに保ち続けるためには、年々管理費、修繕
費を増やしていかねばならない。歳とるにつれて医療費が増えてゆくのと全
く同じだ。修繕費とは、建物の医療費と考えれば良く分かるだろう。つまり、
居住者は、居住年数に比例して収入が増えてゆかねば追いつかなくなる。も
ちろん、収入が歳とともに死ぬまで増え続ける、永久に右肩上がりなんてこ
とはあり得ない。
 収入が下がる人しか住んでいないのだから、マンションが年々汚れ、痛み
が目につき始めるのは当然ではないだろうか。
 その意味では、築年数というのは、居住者の生活変化の程度を示している、
と言って良い。築30年ということは、当初からの人は全員が年金暮らしの
マンションになっていることかも知れない。
 古いか新しいか、それで値段が決まるとすれば、それしか見なくなるのは
やむを得ないとしても、それは、マンションについて勘違いしているからだ
ろう。もちろん、全員が勘違いしていれば、勘違いが勘違いから常識に逆転
するが、ツケは必ず回ってくるだろう。


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