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2011年5月 7日 (土)

018 寿命

 

マンションのことで常に念頭に置くべきは、耐用年数だ(もちろん、物理的
寿命のことで、いわゆる社会的寿命についてはここでは考慮しない)。新卒で
管理会社に入社した人なら、勤務年数は、定年まで40年前後の期間となるだ
ろう。さて、入社時に新築分譲したマンションは、定年時どうなっているか。
何らかの事情ですでに全面建て直しされている場合もあるかもしれないが、何
回目かの大規模修繕の議論中のところもあるだろう。だが、コンクリートの寿
命は100年とすると、まだ半分にも達していないのだから、建て直さないと
崩壊寸前等と言うことはあり得ない。健在物件が多いのではないか。
 つまり、管理会社の担当者は、新築してから寿命が来て取り壊し、そして建
て直しするまでを見届けできない。もちろん、新築分譲、大規模修繕、建て直
しを扱うことはあるだろう。しかし、それらは別々の物件でスポット的に経験
するだけであり、一つのマンションの、建物としての一生をトータルで見続け
ることにはならない。40年余の勤務可能な管理会社社員ですらそうなのだか
ら、永年勤続と言ってもたかが10年超えるかどうかという管理人は論外だ。
 この事実は、管理会社も、マンションというものをトータルでは把握できな
い、把握してないと言うことになる。
 念のために言えば、トータル、の言葉には、居住者のことも含まれる。つま
り、40年後、分譲時の入居者がどの程度残っているか定かではないが、とに
かく、その時点での居住年数はそれなりに長いだろう。長いということは、変
わるということ。共稼ぎ世帯が年金生活者になっているかもしれない。そうな
ると、たとえ同じ金額でも、管理費の重さが違ってくる。建て直しへの反応も、
当然違ってくるはずだ。そのような変化も含めて把握することが、ここでの、
トータル、の意味だ。たぶん不可能、と言う他は無いだろう。
 つまり、人の寿命と建物の寿命の違いの問題で、この差は解消出来ない。も
ちろん、新築時に購入したマンションで生まれた人なら、40年後はまさに働
き盛りだ。しかし、自分が生まれたマンションに引き続き住んでいるだろうか。
マンションでの二世帯同居はまず難しいだろう。両親が亡くなったら、子供は
親のマンションに住むのだろうか。たぶん、どちらも無いと思われる。
 ようするに、マンションというものをトータルで把握するためには、今から
最低でも100年くらいの時間が必要なのだ。したがって、マンション管理と
いう業務が確立するのも早くて100年後だ。
 もう一つ指摘するなら、問題は管理会社の寿命だ。たぶん、人の寿命より短
いだろう。人の寿命より遙かに短命な管理会社が、人の寿命より遙かに長いマ
ンションを管理する、というのは皮肉と言えば皮肉なことだ。

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