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2011年5月28日 (土)

021 ひとつの方向

マンションを建てれば完売、という時代は終わりつつある。もちろん、ディ
ベロッパーはそんなことは承知している。少子高齢化、格差拡大等、マーケッ
トが縮小する要素が目につくばかり。
 いま、例えば、ホテルみたいな、とパンフレットでうたう物件がある。開発・
分譲業者は、これも差別化の一つの道と考えているようだ。では、ホテルみた
い、というのは、高級化、と言うことなのだろうか。高級なマンションは当然
高価だが、高価なものが高級とは限らない。まあ、買い手が、高価と高級とい
うことを混同してくれるなら、業者が混同しても売れるだろうが、それは、よ
うは売り逃げ、と言うことに過ぎない。
 実は、ホテル的、というのは、皮肉な形でマンション生活の本質を示唆して
いる。中低層あるいは中規模以下のマンションに住んでいる人でも、ここは自
分が住んでいるマンションだ、とエントランスの前で人に言えるだろうが、自
分のマンションだ、と言い切れるかどうか。持ち分はあるが、全部持っている
わけではないからだ。タワーマンション、あるいは千世帯を超える大規模マン
ションでは、どこまで実感出来るか。
 幸か不幸か、全面建て直し、になったら、文字通り、死ぬまでそこに住むこ
とが出来なかったことになる。つまり、マンションは終の棲家では有りえない。
なぜなら、家ではないからだ。所有権はあるけど、究極の仮住まい。あるいは
借り住まい。とすれば、ホテル、と言う方が本質を示している。持ち分所有権
はあると言っても、自分だけの家ではなく、どうせ自分の意のままにならない
のなら、いっそホテルのようなサービスを期待したい、となるのは別に不思議
ではない。どのみち、管理費、修繕積立金はもちろん、駐車場代、インターネ
ット接続料など、それなりに毎月払っているのだ。それにローン、食費、水道
光熱費に税金など加えてゆくと、ホテルの連泊宿泊料とそんなに違わなくなる
かも。
 ホテル、と言うことは、別のことも示唆する。つまり、マンションとは、食
事して風呂入って寝る場所ではあっても、子供を育てる場所ではない、と言う
わけだ。
 これは、意外とやっかいなことだ。まず、子供が遊ぶ場所がない。どんなに
リビングが広くても、大勢の子供が来たら入りきれない。たむろできるマンシ
ョンには、よそのマンションの子供も集まってくる。そして、エントランスあ
たりでたむろすると、子供のいない、あるいは子供も大きくなった居住者から
文句が出る。子供が集まるのも、中学生までなのだが、でも10年間くらいは
目をつぶらねばならない。
 すなわち、ホテル、とは子育てを全く考慮してないということだ。小学校が
近い、買い物が便利、小児科もすぐそば、も大事だが、当然ながら、それは大
人の、つまり親の視点である。
 その点、大規模マンションは、そこだけで村になるくらいだから、敷地内公
園とか、キッズルームとかが、申し訳程度であろうとつくられる。その意味で
は、大規模のほうが良いわけだ。1000世帯超えるところでは、エントランス
周辺ならともかく、さすがにホテルを目指して、とは唱わないだろう。業者はそ
れなりに心得ている。つまり、ホテル的、というパンフレットのうたい文句にも、
ちゃんと意味はあるのだ。

 

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