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2011年4月21日 (木)

016 マンションという場所

 

マンション管理人という仕事を論じる前に、大前提としてマンションそのも
のに触れておきたい。結論を先に言えば、マンションとは、勘違いの集合場所
ということである。
 勘違いと言うより、思惑と言うべきかもしれないが、ディベロッパーが企画
・開発・分譲する時の思惑が基礎にある。その上に、居住者の思惑が積み重な
ってゆく。例えば、その物件を選んだ理由も皆違う。通勤時間、子供の通学時
間、買い物等の生活手段、もちろん、価格。住むだけでなく、投資、仕事場、
セカンドハウス、或いは社員寮等々。
 さらに、ものの見方、考え方というのは、人により異なる。つまり、450
世帯のマンションでは450通りの思惑が引っ越し荷物とともに運び込まれる。
そして、全て夫婦と仮定すると、900通りの、ものの見方考え方を中に抱え
込んでいると言うことになるのだ。また、同じ人でも、経験、年代によって変
わることも別に珍しくない。つまり、思惑のバリエーションは際限がない。そ
れで居てそれなりに生活できるのは、居住者間で接触することなどきわめて限
られているからだ。隣の居住者と会ったことがない、と言う例も別に珍しくな
い。もちろん、妥協、協力、もあるし、子育て世代や働き盛りの世代では、毎
日が忙しく、細かい違いにこだわるヒマも余裕もない人が多いからでもある。
 別の言い方をすれば、マンション、マンション管理、管理人についてのイメ
ージも同様だ。イメージというのは、ふつうはマスコミの記事やニュースや社
会的なイメージを元にしているから、それなりの共通点も多いだろうが、受け
取り方は人によって異なる。つまり、勘違いは当然おきる。
 そしてここで言いたいのは、勘違いを正せ、と言う主張ではない。もちろん、
正すべき努力は必要だが、マンション管理の目的も、管理人の役割もそういう
ことではない。今まで見てきたように、マンション管理人という仕事も、志す
動機からして様々な思惑や勘違いに基づいている、ようするにお互い様だ、と
言いたいわけである。
 すなわち、マンションというのは勘違いを積み重ねて建てたもの、いわば誤
解建てということだ。しかも、ドアの中のことは分からないし立ち入れない、
という難点がある。百鬼夜行と言っては言い過ぎだろうが、マンションとは、
何かの時に関係者全てが思惑と勘違いをぶつけあう場所だ。そのことが絶対の
前提になるのだ、と強調しておきたい。
 マンション、マンション管理、管理人、について考えるとき、つねに、何か
が違うという違和感はぬぐえない。それでいて、何が違うのか突き止められな
い。それは、そもそもマンションの骨格は鉄筋などではなく勘違いだからだ。
その解決のために必要なのは、たぶん時間しかないであろう。時の流れは社会
を変える。そして、社会の変化と時の流れが、不要な部分、枝葉の部分、そし
て誤解、勘違いされている部分を洗い流してくれるだろう。300年後、マン
ション、マンション管理がどうなっているか、楽しみである。 

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